清香タイプ:
この岩茶は、福建省で約10年前から育み、開花させた品種です。日本での認知度はまだ低いものです。
清々しい軽やかな味わいに仕上げています。岩茶特有の苦味や渋みが少なく、メイグイを想わせる華やかな花香が立ち昇ってきます。
一口喉を通して、武夷山に花が咲いたな、と思いました。
これまでの岩茶の地味で奥深い概念から、多角的に開花した品種です。岩茶の歴史は躍動しています。
他の香型もございますが製茶の進展にとどまっている印象です。
来客時のおもてなしや、軽めのお菓子とご一緒に。プレミアムタイムにおすすめです。
産地は、1000年を超える茶の歴史を誇る福建省武夷山。
まるで天界を想わせる、その稀な地形と自然が育む岩茶には、いつの時代も世界中のお茶通が魅了され続けています。
この地には茶にまつわる伝説も多く、古来「岩茶」は神薬と崇められ、人々の生活に欠かせないものだったことがうかがえます。
現代社会においては、科学的検知から健康への福音が多くもたらされています。
【飲み方】繊細なお茶です。香りをそのまま100%愉しむために蓋碗などの磁器でお愉しみいただくと良いと思います。(お湯を注いだ瞬間から素晴らしい香りが立ちます。蓋に残った香りもぜひ確かめてください) じっくり、何煎も何煎も時間をかけて飲んであげてください。口に入れるのは少しずつで結構です。煎を重ねるごとに心が静まり、本当の岩茶の素晴らしさが実感できることと思います。
この岩茶は2006年に「国家無形文化遺産」の一人に選ばれた名人より仕入れております。この方の作る岩茶の魅力は繊細な表現にあります。
【店主より―かなり岩茶びいきの「本音」―】
店主が絶海の孤島に一種類だけ茶葉を持ち込んでいいといわれれば、迷うことなく岩茶を選びます。火のおこし方?それはおいおい考えることにして・・・とにかく何が何でも岩茶なのです!山登りにもよく行きますが、限られた荷物に必ず入れておくのが、やはり数グラムの岩茶。あれこれ迷っても、結局落ち着くのは岩茶なのです。
【岩茶の魅力とは?】
あくまで個人的な意見ですが・・・烏龍茶の中でも岩茶は特別な存在だと思います。他の烏龍茶に比べ香りは控えめでパッとしない印象があります。これは一般的な烏龍茶の尺度で岩茶を評価するからです。
他のお茶は主に鼻や舌でその素晴らしさを実感するものですが、岩茶は少し違います。岩茶は身体全体で感じるものだといえます。
さらに、茶葉にもよりますが、小さな茶壷で淹れますと一回分の茶葉で15煎近く飲めたりします(なかなか経済的)。多くの岩茶は最初の数煎も良いのですが、中盤から特に美味しくなっていくようです。この煎ごとの変化も魅力ですし、個人的には徐々に透明感が増して、トロリとなっていく感じが堪らないのです。
私は半日〜丸一日使って、小さな茶杯でチビリチビリとお湯になるまで飲むのが好きです。茶杯にもほんの少しだけ入れコロリと舌の上で転がします。それは一滴、一滴貴重な黄金のしずくを体内に取り込んでいく感覚です。透明感がありますがエキスはとても濃厚です。煎を重ねるごとに、霧が立ち込める幽玄な世界に引き込まれ、時間の感覚も曖昧になっていくことでしょう。つまりリラックス度No.1のお茶でもあるのです。
【他人には言えないけど、こんなシンプルな飲み方も・・・】
あまり格好の良い飲み方でありませんが、中国ではよく見かける美味しくてめちゃくちゃ簡単な方法をご紹介。
必要なものは耐熱性のコップと蓋になるものだけです。
1.まずコップに湯を注しあらかじめ温めておきます(湯は捨てます)。
2.そこにかなり少なめの茶葉を入れます。
3.これに茶葉が踊り出すほどの勢いで熱々の湯を注いで、上から小皿でも厚紙でも良いので蓋をして蒸らします。
4.茶葉が底に沈んで、湯が程よい色になれば飲み頃です(濃さはお好みで)。
この方法ですが、普通の淹れ方と比べて、甘味・エキス感がとても強く感じられるはずです(その代わり、香りはまあまあです)。また、しばらく置いておいても、意外と苦くなりません。お湯がなくなればまた注ぎ足してください。2-3杯は飲むことが出来ます。
※ポイントは100度に近い熱湯と少なめの茶葉です。低い温度では茶葉が沈まず、口に入ってきて飲みづらいです。また、茶葉の量を少なめにするのは、長めの抽出時間で茶湯が濃くなり過ぎないようにするため。そして、数煎分の味を一度に愉しもうと言うわけです。(茶壷で淹れるときは一煎目と二煎目を茶海の中で混ぜ合わせたりしますよね)また、中国では多めに茶葉を入れますが、少なめの茶葉で長く抽出するほうがお勧めです。
以上、拍子抜けするほどシンプルな飲み方ですが、ぜひ一度お試しください。一味違う岩茶の魅力に巡り合えるはずです。
※岩茶の産地である武夷山は1999年に世界遺産に登録され、国家重点自然保護区となっています。