別名「岩茶の王様」。様々な伝説が残る大紅袍ですが、現在残っている樹齢300年超の原木はわずか数本のみです(写真)。お茶は年間1kgも採れません。そのため、ある香港人のお茶通が250万円/20g(!)で購入したという話は有名になりました。いったいどんなお味だったんでしょう?
さて今回ご紹介する茶葉は、四本ある原木から挿し木して、母樹同様に厳しい武夷山の環境で育てられた第二世代の大紅袍です。ごつごつした岩山に張った根は、岩肌の養分を長い時間かけて吸収してきました。葉は霧や朝露を取り込みながら成長してきました。これらの厳しい環境と茶樹の生きようとする力、そして茶師の熟練した腕と勘が素晴らしい「岩韻」を生み出しているように思えます。
仕上げは中火焙煎でやや軽めに仕上げています。中程度のボディーでさわやかな甘味を含んでいます。さらに僅かにですがフルーティーな余韻も漂います。普通の大紅袍を飲まれたことがある方は、きっとこの大紅袍に驚かれるはずです。
じっくり、何煎も何煎も時間をかけて飲んであげてください。口に入れるのは少しずつで結構です。煎を重ねるごとに心が静まり、本当の岩茶の素晴らしさが実感できることと思います。